目黒会ロゴ
検索方法説明
問い合わせ グッズ販売 関連リンク集 情報セキューリティ方針 サイトマップ
目黒会について/事業内容/移動体通信研究会/第48回/タクシー無線のデジタル化

第48回移動体通信研究会

タクシー無線のデジタル化

総務省 総合通信基盤局 移動通信課 課長補佐 岡 崎 邦 春

1)タクシー無線の歴史と変遷
 業務用移動体通信の典型ともいえるタクシー無線は、半世紀を超える歴史があります。
 情報を伝送する無線通信と人物を運送する自動車の発明は、ともに19世紀末期に生まれ、我が国においても、ともに20世紀初頭からその実用化である放送通信やタクシー事業がスタートしています。
 その無線通信とタクシー事業が一体となったタクシー無線は、昭和28年(1953年)10月13日、札幌で誕生しました。電波法が制定されて僅か3年ですが、まだまだ一般私企業に電波が割当てられるような時代でもなく、当時、無線機の開発製造も非常に高いもので、タクシーに使われる車1台が50万円から80万円した頃にタクシー無線の車載機の値段が1台42万円との記録があります。
 当時の移動体通信は中短波帯や30MHz帯でしたが、最初のタクシー無線には、150MHz帯が使われました。150MHz帯は、その後、警察や消防の移動体通信に実用化され、今日の移動体通信の草分けとなりました。またタクシー無線は、りんご木箱ほどの大きさの真空管方式の無線機を車に積み込み、悪いクッションで悪路を走る訳ですから、常に無線機の安定化と小型・省電力化のチャレンジでした。
移動通信とタクシー無線の歴史
 それでもタクシー無線により、配車の迅速化、実車率の向上、燃費の節約、顧客サービスの向上など、無線利用の効果が革命的であったのでしょう。無線の導入は、タクシー事業にとって今でいうIT改革として発展した歴史を持っています。
 タクシー無線はその後、共同無線配車、集中基地局やAVM(車両位置自動表示)システムの導入などの高度化を重ね、現在では、全国26万台のタクシー車両のうち22万台が無線化されています。タクシーにとって無線は当たり前のことのようになっているのです。

2)移動通信のデジタル化
 無線通信では、マイクロウエーブなどの固定通信のデジタル化が先行し、移動体通信は1983年警察用に初めてデジタル化され、携帯電話はその10年後からでした。2000年代に入り一般業務用の移動通信もデジタル導入し、タクシー無線についても一昨年末から制度化されました。
 移動通信のデジタル化は、増大するデータ伝送ニーズと通信の高度化に対応することです。タクシー無線に使われるデジタル方式は、π/4シフトQPSK変調で伝送速度が9600bpsのもので、いわゆるSCPC(Single Channel Per Carrier)方式といわれ、使用される周波数は、従来のアナログ方式と同じ450MHz帯に200を超えるチャンネル数を用意しています。同時にデジタルタクシー無線は、周波数の割当間隔を6.25kHzに狭帯域化し、周波数の有効利用を図っています。
 このほか、自営移動通信用のデジタル方式としては、多重度4スロット、伝送速度32kbps、チャンネル間隔25kHzのTDMA方式があり、防災、鉄道、空港MCAなどに使われています。このうち車両との通信には、従来の音声通信だけでなく、運行管理データ、車両位置動態、接近防護警報、沿線交通情報や顧客情報を常に同時に伝送できることが求められています。デジタル空港MCA、TX(つくばエックスプレス)やJR仙石線で実験されたATACS(無線列車制御システム)などは、この多重度4スロットのTDMA方式が使用されており、それにより安全安心の運行サービスが確保されています。
 最近の運輸交通は、相互乗入、集中運行、自動運転、サービスの多様化、安全対策、乗客サービスの向上が求められており、この無線によるリアルタイムの空間運行制御通信や双方向多重無線通信が確保されていれば、さきの尼崎などの事故は防げたのではないかと思います。
自営用デジタル移動通信システムの方式

3)タクシー無線のデジタル化
 タクシー無線のデジタル化は、タクシーの運行管理や顧客サービスの向上に求められた通信の高度化に対応するものです。デジタルタクシー無線は、多重度1のSCPC方式ですが、小容量データ伝送であれば、基地局と移動局の同期をとることによって、音声符号を圧縮して、残りのタイムスロットに移動局の動態データを挿入したり、音声符号とデータ符号を棲み分けて伝送することが可能です。
移動通信の高度化
 このように運輸交通通信は、基地局と移動局がそれぞれ別の周波数を使う2周波通信方式の双方向性と音声とデータの同時伝送が可能な多重性を、伝送速度が速く信頼性の高いデジタル通信で実現利用しています。まさに利用ニーズによってデジタル通信が活用される訳です。
SCPC方式における多重化アプリケーション
 そうしたことからタクシー無線は、デジタル化によって利便性が高まり大きく変わりました。2周波デジタル通信方式を基本としたタクシー無線は、GPSで得られた車両位置情報をリアルタイムで伝送し、常に全車両の動態が把握でき、配車指示も音声ではなく文字や地図表示によるデータ配車を実現しました。そのため空車探しと配車指示の時間が大幅に短縮され、配車センターの電話待ちや話中がなくなり受注が増大しました。また、地理不案内の新人運転手に対しても文字表示とカーナビによる顧客の場所や行先案内が可能となりました。
 デジタルタクシー無線は、コンピュータによる顧客管理システム(CTI)と連動させ、福祉介護、警備タクシーなど多様で、きめ細かな配車サービスや何時間先、何日先の予約配車にも対応可能になりました。

4)デジタル化の将来発展
 このデジタル化の制度化から僅か1年10ヶ月(17年9月末)で、16,016局が既にデジタル化されており、免許申請中や工事中を含めると16,550局になります。特に東京都では12,606局がデジタル化されており、これは東京都の全無線タクシー車両の38%に当たります。今年度中には東京都の半数のタクシー車両がデジタル化されるでしょう。
 デジタル導入した事業者からは、「空車探しの手間がなく配車スピードが画期的に速くなった。業績が15%も上がった。顧客からの評判が良い。」などと高い評価が得られています。タクシー無線のデジタル化によって、配車業務の効率化だけでなく、無駄な走行をなくして安全で、かつ渋滞緩和、CO2を減らして環境保全にもつながっています。
たぅしー無線のデジタル導入評価
 現在タクシー事業は、規制緩和などにより厳しい競争状態に置かれています。タクシー無線のデジタル化は、大量車両を有する大都市部の事業者には配車効率と確実性を一層高め、地方郡部の小規模事業者にとっては、よりきめ細かな配車と顧客対応を可能とし、将来的には自律運行ナビゲーションなどの運行支援や料金収受、地域情報配信などの顧客サービスを実現させ、まさに安全安心のタクシーITSとして利用発展が期待されています。
IT時代におけるタクシー無線の将来像

Copyright 2003 Megurokai,All Rights Reserved
このページの先頭へ戻る