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 会報22−1号

新生・UEC
なぜ電気通信大学は人事制度を改革したのか

電気通信大学長 梶谷 誠
教員組織の全体最適を目指して
かじとーくNo.15、平成21 年2 月23 日発行

 現在電気通信学部・同研究科の改組に向けた計画案を教育研究組織整備本部で策定中ですが、その内容については逐次議事録等で開示しています。
 去る平成20年11月6日開催の整備本部会議において、整備本部の下に教員組織検討WG(主査:酒井理事、委員:由良副学長、石川学長補佐、西野教授、中村(整)教授、阪口准教授、中田調査役)を設置し、「電気通信大学における教員組織のあり方について」を諮問しました。その後、WGでの検討の途中経過が、2月9日(月)開催の整備本部会議に中間答申として提示され、整備本部でも議論を開始しました。その内容についても整備本部会議の議事録等で開示されますが、今後整備本部およびWGでの検討と平行して、学内の意見等を聴取し反映させたいと考えています。
 ここでは、教員組織を見直す理由と新たな枠組みの意図を私の見解として示します。

諮問理由
(20年11月6日付諮問書記載の内容の要約)
1.背景(国立大学法人の教員にかかわる外部環境の変化)
  (1) 国からの運営費交付金が毎年1%削減され、人件費は5年間で5%の予算の削減により、教員人数の不補充あるいは削減を余儀なくされている。
  (2) 国立大学時代の教員の定員制度は無くなり、法人の裁量に委ねられている。
  (3) 2007年4月1日施行の「学校教育法の一部を改正する法律」により、教員の職制による職務内容が根本的に変更された。
2.教員のあるべき姿
  (1) 個々の教員がやりがいを感じ、意欲をもって、楽しく仕事ができること。
  (2) 個々の教員の自主的な活動を基本とすること。
3. 上記を前提に、「UECビジョン2018」を実現するために、次のような観点、問題意識を考慮しつつ本学の実状、将来の発展を見据えた教員組織の在り方を検討する必要がある。
  (1) 学部並びに研究科の組織(学科、専攻など)は、学生の教育組織と位置付け、教育の質を高め、成果を上げるためには、教員はどのような体制で関わるのが最も効果的か。
  (2) 研究活動は、学問・科学技術の発展、社会の変化等によって、研究者自らが自主的かつ柔軟な発想で実施すべきことから、教育組織とは切り離して環境に柔軟に対応できる研究組織体制を構築できないか。
  (3) 上のように、教育組織と研究組織を分けた場合、教員組織にどのような機能、役割、責任を持たせるべきか。
  (4) 各部局等と大学全体としての効果的教員配置との調整機能をどのように持たせるか。
  (5) 本学の理念、UECビジョン2018など本学の教育研究目標の達成に貢献する優秀な教員を確保するための人事制度はどうあるべきか。
  (6) 限られた人件費のもとで、本学全体の活力を高めるために、専任教員のみならず非常勤教員など多様な支援教員を含めた戦略的教員構成(構造)をどのようにすべきか。
新しい教員組織に期待すること
1. 私は、かねてより大学は「知のボーダレスの場」であるべきと訴えてきました。また、「諸悪の根源は組織にあり」とも言ってきました。組織を作ることは必要ですが、組織間の壁を低くし、多様な交流(コミュニケーション)によって常に新鮮な活力を生み出せる柔軟な組織にしたいのです。
2. 大学はいくつかの学部で構成され、学部はいくつかの学科で構成されるように、一つの組織はいくつかのサブ組織で構成されます。それぞれの組織は、それぞれの使命を有し、自律的に機能する必要があります。しかし、サブ組織はややもするとその組織だけで閉じた個別最適を自己目的としがちです。大学としての全体最適を目指す体制にしなければなりません。
3. 大学に欠かせないのは教育機能です。大学は、社会と学生に約束した教育の機能と質を保証するため、教育組織を構成し、そこに適切な教員を配置する責任があります。
4. これからの大学では、教育機能も多様化し、社会のさまざまな状況によって変化して行きます。環境変化に柔軟かつ効果的に対応する教員の配置は、大学全体として常に最適化を図らねばなりません。そのマネジメントの責任は、法人が負わねばなりません。すなわち、教員人事の重要な基本的事項は法人(役員会、教育研究評議会、経営協議会)の責任において決定しなければなりません。ただし、具体的な人事選考は、教育研究の特性に鑑み、ピアレビューによるべきことは当然です。
5. 大学の教員は教育とともに研究活動をしなければなりません。研究の組織は研究活動をミッションとする研究センター等を除けば、個人単位でもグループ単位でも多様な組み合わせが、教育組織の枠組みとは無関係に、教員が自由に柔軟に構成できます。
6. 私は、新しい教員組織を次のようにイメージしています(個人的見解)。
  (1) 全ての教員は全学で一つの「学術院」の所属となる。学術院にはいくつかのサブ組織が置かれ、そのどこかに籍を置くが、その籍は固定的ではない。
  (2) 一部の教員を除く全ての教員は、特定の教育組織の教育を担当する。その担当は、学術院から委嘱されるが固定的ではない。
  (3) 各教育組織の担当者は、その組織の教育の実施について合議により責任を果たす教員組織を構成する。
  (4) 教員の採用等に関しては、(3)の組織等いろいろな立場からの提案を可能とし、それらの提案は「学術院」に設ける「人事関係委員会(仮称)」に集約され、あらかじめ定められているルールや大学の基本方針等に照らして取扱いを協議する。この委員会だけでは結論が得られず大学としての調整が必要な場合には、法人と学術院の協議機関である人事調整委員会(仮称)で協議する。採用等の進行が可となった場合には、学術院に当該案件に関する人事委員会を設け具体の人事を進める。
教員の人事評価
かじとーくNo.18、平成21 年6 月1日発行

 平成20年度の教員の人事評価が試行として実施 され、その結果が拡大役員会で審議され、教育研究評議会にも報告されました。その結果を踏まえ、各教員には総合評価の結果(3段階)が通知されました。この試行に際しては、各教員には自己評価を、学科長、専攻長、部局長等の皆さまにはそれぞれの立場で総合的評価をしていただきました。大変な労力をおかけしたことと思いますが、ご協力いただきました ことに心から感謝申し上げます。
今回の試行によって多数の課題が浮き彫りになりました。その意味では大変有意義な試行であったと 考えています。今後、今回の試行で学習したことに基づきシステムの改善を行うことになっています。
ここでは、教員の人事評価のありかたについて私 の見解を述べさせていただきます。

(1)評価の目的
  教員が教育研究活動に高い意欲を持ち、やりがいを感じ、その能力を十分に発揮できる環境を維持すること。
(2)評価の意義・効果
  自己の仕事を自ら見直し、改善に資する機会となること。
  他との比較を通して切磋琢磨の機会となること。
  他から高い評価を得る(褒められる)ことにより、やる気、意欲が一層高まること。
  厳しい評価を得る(叱られる)ことにより、奮起すること。
  組織としての規律と緊張感を保ち、乱脈と怠惰を防ぐこと。
(3)評価の活用
  組織全体の評価結果(統計量)を公表し、今後の組織としての改善に資する。同時に、個人は自分の組織の中での位置づけを認識する。
  評価が優れた者を表彰する。
  評価が悪い者にアドバイスをする。
  評価の結果を昇給、勤勉手当に反映させる。
(4)評価の弊害
  人事評価システムによる評価が、各個人の人間としての全人格の評価であるかのような誤りを犯す危険がある。
  仕事の仕方が、人事評価システムの評価項目を高めることを目的としがちになる。
  各人が自分の評価を高めることにのみ注力して、組織の中での協調、協力関係が薄れ、ひいては組織としての活力も衰える。
  過度な競争により、組織内での格差が広がり過ぎると、組織の一体感は薄れ、沈滞する。
  評価のために多大な労力とコストをかけるようになると、本来の活動を阻害する。
 以上、ざっと思いついた私の私見です。評価は、たとえ評価システムがなくても、さまざまな立場・方法で行われますし、行われてきました。それならば、その組織に適したできる限り公平な評価システムをオープンにし、運用していくべきと考えています。その結果もオープンにしていけば、評価システムもよりよい方向に改善することができます。しかし、上述したように、評価システムには絶対的なものはあり得ません。したがって、これを過信することなく、プラスの面を活かすように運用していくことが肝要です。
 かじとーくNo.12で、昨年度12月期の賞与の支給に関して、勤勉手当にかかわる勤務成績の評価方法についてお知らせしました。そこでは、下記のような記述があります。
「現時点では、止むを得ず以上のような評価をさせていただきましたが、現在酒井理事の下で教員の評価について検討していただいておりますので、できれば来年の夏の賞与からはもっと適切な評価システムを導入したいと考えております。」
しかしながら、冒頭に述べましたように、20年度の評価の試行では多くの課題が明らかになり、そのままでは本格的なシステムとしては使用できないと判断されます。そこで、今年度6月期の賞与については、昨年度12月期の評価を改善した方法で支給させていただきます。その詳細については、次回に公表いたします。
事務組織の改組
かじとーくNo.30、平成22 年7月22 日発行
  [前半部略]
 国立大学時代の人事は、教官人事と事務官人事に二元化されていました。たとえば、教官が所属する教学部門を学長が、事務官が所属する事務局を事務局長が責任を分担していました。また、事務局幹部は文部科学省に人事権がありました。事務局の改組を行う場合にも、全て本省の許可が必要でした。このため、長年の間に多くの弊害が生じ、大学全体としての十分な機能を発揮できない状況にありました。法人化によって、法的にはこのような状況は解消されました。国立大学法人の役員、職員の人事において、文部科学大臣が任命権者となっているのは、学長と監事だけです。
本学では、すでに平成21年度から事務局制を廃止しました。その象徴として、事務局長という職も廃止しています。各理事の下に、その所掌事項ごとに担当事務が張り付くという構造を基本としています。理事の機能を強化し、権限と責任の実質化を図ることを意図しています。8月1日に実施するこの度の改組も、上記の方向をさらに推進するものです。以下に、いくつかの新しい試みを紹介します。
(1)副理事の新設
常勤の役員である3理事を事務方から支える副理事を置きます。従来の企画調整役(部長クラス)2名と課長1名を充てます。これにより、一層理事の機能を強化するとともに、教員と事務がイコールパートナーとして「連携と協働」を推進する環境を醸成しようと考えました。
(2)教育研究プロジェクト支援室の新設
運営費交付金の削減が続く中で、競争的資金などの外部資金の獲得がますます重要になっています。本学の外部資金の獲得も徐々に増加しており、それに伴う事務処理、管理業務も増大、複雑化しています。そこで、プロジェクト予算の執行管理を一元化し、事務の効率化と予算の適正な執行を期さねばなりません。
  [後半部略]
おわりに
 本学の人事制度の改革にあたり、学内の理解を深めるために発した「かじとーく」を3件紹介しました。それぞれは、その時点でのものですから、現在の状況と若干マッチしていない部分もあるかもしれません。新しい制度の定着には時間がかかりますが、着実に進展を図りたいと思っています。
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