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目黒会報/主要な記事/15-1巻頭論壇1

会報15-1の主要記事
「国立大学法人法案」にみる新国立大学の姿 (その1)
電気通信大学同窓会 社団法人目黒会名誉会長
電気通信大学長:梶谷 誠
1.はじめに
 目黒会会報14.2号(平成14年8月発行)で、文部科学省に設けられた調査検討会議がまとめた「新しい「国立大学法人」像について」と題する最終報告(平成14年3月26日発表)の概要を紹介いたしました。
 この最終報告を受け、文部科学省は、平成16年4月を目途に全国立大学を一斉に「国立大学法人」へ移行すべく、法律の策定作業に入っていましたが、去る2月28日に国立大学法人法案など関連法案を閣議決定して、現在会期中の国会に提出しました。この法案が今国会で成立しますと、平成16年4月1日に国立大学法人が設立されます。
 本稿では、国立大学法人法案の位置付けと内容について、その要点を紹介いたします。
2.国立の高等教育機関の構造が変わる
 国立大学法人法案の中身を見る前に、国立の高等教育機関全体のシステムが大きく変わることを説明しておかねばなりません。
 現在は、「国立学校設置法」の下に、国立大学(99大学[2短期大学を含む。従来、4年生の国立大学は99大学であったが、昨年10月に、筑波大学と図書館情報大学、山梨大学と山梨医科大学が統合されたため97大学になった])、大学共同利用機関(国立天文台など15機関)、国立高等専門学校(55校)、大学評価・学位授与機構、国立学校財務センターが置かれています。これらは全て、平成16年4月1日に法人化される予定です。
 ここで、注目しなければならないことは、現在の国立大学と大学共同利用機関(以下、両者を合わせた場合は、国立大学等と略記)は、「国立大学法人法(以下、法人法と略記)」で規定される法人へ移行しますが、高専など他の機関は、「独立行政法人通則法(以下、通則法と略記)」に基づき、法人毎に個別の法令(個別法)で規定される法人になります。
 法律の体系で言えば、現行の国立学校設置法は廃止され、替わりに、国立大学法人法、独立行政法人国立高等専門学校機構法、独立行政法人大学評価・学位授与機構法、独立行政法人国立大学財務・経営センター法、独立行政法人メディア教育開発センター法の5本の法律が新たに制定されます。法人法には、89の国立大学法人と4つの大学共同利用機関法人(以下、両者を合わせた場合は、国立大学法人等と略記)を置くことが明記されています。現在(平成15年4月1日)、国立大学は前述したように99ありますが、今年の10月には、東京商船大と東京水産大が東京海洋大学に統合されるように、10組20大学が統合されるため、平成16年4月1日に発足する国立大学法人は89法人となります。国立大学法人は、それぞれ一つの国立大学を設置します。本学の例でいえば、国立大学法人電気通信大学と称する法人が電気通信大学と称する国立大学を設置するという形になります。また、大学共同利用機関は、大学共同利用機関法人人間文化研究機構、大学共同利用機関法人自然科学研究機構、大学共同利用機関法人高エネルギー加速器機構および大学共同利用機関法人情報・システム研究機構と称する4法人に集約され、それぞれの法人が複数の研究所等を設置することになります。例えば、大学共同利用機関法人情報・システム研究機構には、国立情報学研究所、統計数理研究所、国立極地研究所、国立遺伝研究所が含まれます。一方、高専は、独立行政法人国立高等専門学校機構という1つの独立行政法人が55の高等専門学校を設置します。さらに、独立行政法人大学評価・学位授与機構、独立行政法人国立大学財務・経営センター、独立行政法人メディア教育開発センターは、それぞれが一つの機構やセンターを設置します。
 以上のように、文部科学省が所管する新たな法人は、国立大学法人○○大学、大学共同利用機関法人○○機構および独立行政法人○○○の三種類の法人に別れますが、前2者は法人法、後者は通則法に基づく個別法にその法的根拠をおいています。
3.国立大学法人は独立行政法人ではない?
 独立行政法人と国立大学法人との関係について、世の中では多少混乱があるようですので、簡単に説明しておきます。独立行政法人制度は、平成13年度からスタートしました。さまざまな業務を行う独立行政法人が設立されますが、それらに共通な枠組みを通則法で定め、個別の法人については、それぞれの個別法で定めています。通則法では、独立行政法人を次のように定義しています。
 通則法第2条 この法律において「独立行政法人」とは、国民生活及び社会経済の安定等の公共の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるもの又は一の主体に独占して行わせることが必要であるものを効率的かつ効果的に行わせることを目的として、この法律及び個別法の定めるところにより設立される法人をいう。
 文部科学省関係でもすでに、国立博物館、国立美術館、国立国語研究所、大学入試センター、国立青年の家など総計16の機関が平成13年度から独立行政法人へ移行済みです。たとえば、国立博物館は、独立行政法人国立博物館法という個別法によって設置されています。また、独立行政法人国立博物館は、特定独立行政法人とすると定められています。特定独立行政法人とは、法人の役員及び職員に国家公務員の身分を与えるもので、その必要が認められる場合には、個別法で特定独立行政法人と定めることができることになっています。したがって、国立博物館は独立行政法人として文部科学省の直接の管理から離れたのですが、その役員及び職員は、国家公務員の身分を引き継いでいます。一方、たとえば独立行政法人国立青年の家は、特定独立行政法人ではなく、役員及び職員は非公務員です。
 ところで、いわゆる独立行政法人を規定する個別法では、その法人が通則法に基づいて定められるものであることが条文に明記されています。これに対して、国立大学法人法には、通則法の定めにより設立される法人であるとする条項はありませんから、国立大学法人はいわゆる独立行政法人ではありません。しかし、法人法の第35条に「独立行政法人通則法の規定の準用」規定があり、法人法が準用する条項および準用に際して読み替える字句が明記されています。通則法は全72条から成っていますが、そのうち準用される条項の総数は40に上っていますから、法人法は直接通則法の下にないと言っても、間接的には通則法と深くかかわっています。したがって、実質的には、法人法は通則法の枠組みの中にあると考えられますから、国立大学法人は広義の独立行政法人、いわば準独立行政法人という位置づけにあると思います。
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