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目黒会報/主要な記事/会報15-3号大学のこれからと広報の役割

目黒会報の主要な記事15-3号
「大学のこれからと広報の役割」

巻頭論壇1

電気通信大学長 : 梶谷  誠
電気通信大学 広報担当 学長補佐 : 高柳 雄一
目黒会 広報委員会委員長 : 上原 佑一

上原 : 国立大学法人として母校もその第一歩を踏み出すことになりました。学長が提唱されておられます「知のボーダレスの場」の構築を目指し、どのような広報戦略を展開されるのか、またその理念、目標を達成するには、「広報」の果たす役割が非常に重要であると思われます。
 本日は学長と広報担当の高柳先生にお越しいただきまして、「大学のこれからと広報の役割」と題してお話をお伺いしたいと思います。まず、「広報とは何か」という基本的な問題がありますが、これは後ほど触れていただくことにして、最初に、梶谷先生が広報に何を期待され、何を望まれておられるのかをお伺いしたいと思います。

梶谷誠学長学長
: 僕は大学だけではなく、社会のあらゆる組織、社会全体で一番大事なことはコミュニケーションだと思っています。たまたま本学が電気通信大学だからということではなくて、僕の今までの経験で考えると、コミュニケーションがうまくいくかいかないかということが、その組織がうまくいくかいかないかということにかかわっています。
 ところが一方、社会は複雑になってきて、いろいろな組織ができると、どうしても自分の組織を守るために壁を作ってしまう。それではコミュニケーションがなかなかうまくいかない。組織をうまく維持し発展させるコミュニケーションを、別の言い方で「広報」という言葉で言っているのだと、そう僕は解釈している。
 今まで広報というと、どちらかとういと一方的に自分の主張をする。ものを売りたいときに一方的に宣伝して、とにかく買わせればいいということで、自分のいいところだけを発信して買わせようとしますよね。もう、そういう時代じゃなくなったと思います。コミュニケーションというのは、必ず相互に情報を交換し、それを理解する。一方的ではだめで、理解するところまでいかないとコミュニケーションは成り立たない。そういうことはあらゆるところ、いろいろな組織で必要になる。大学も当然そうだということです。
 大学は「知のボーダレスの場」と言っているのは、もともと大学というのはそういう場だったと思っているからです。知的活動をしたい人が、年齢や性別や国境、そういうものにあまり関係なく集まってきて何かしようというのがそもそもの役割だった。それに戻そうとしているだけです。壁を作る必要はない。複雑な社会になって、きちきちっとした組織を作ってくると壁ができる。それを少し反省して、できるだけボーダレスにしましょうというのです。
 ボーダレスにするということは、コミュニケーションをうまくやることが前提になる。そうでなければ、ボーダレスにしてもだめですね。「知のボーダレス」ということと「広報する」ということが密接につながっていると僕は思っています。

上原
: コミュニケーションというお話が出ましたが、まさしく広報というのはコーポレート・コミュニケーションということだと思います。大学の広報というのは、今、学長からもご指摘のように、一般の企業の広報とはちょっと性格が違っていると思います。そういう意味で高柳先生に、大学の広報はどうあるべきなのか、またどういうことをしていかなければいけないのか、一般企業とどういう点が違うのかを伺いたいのですが。

高柳
: 大学へ来て強く感じたことは、大学が社会に対して非常に堅く守られたバリアーの中でこれまで活動してきているということです。それはそれで、研究についても教育についてもいい環境だったと思います。それを強いて、なぜ外に対して気にしながら、あるいは意識しながら研究・教育をする必要があるのかという疑問は、これまでこういう環境で仕事をしてこられた方の中にかなりあるのは当然だと思っています。
 しかし、大学も、その組織としては常に外からいろいろなものを取り込んで成長していかなければいけないわけです。成長していくということは、やっぱり外と有用な接点を持っていなければならない。外に対して完全なバリアーを作るというのはある意味で閉鎖系を作ってしまうことです。完全に閉じてしまうと、成長が止まってしまうこともさることながら、外が見えなくなってしまいます。自分たちがいったいどこへ向かおうとしているのか、社会の中でどういう役割を果たしているのか。組織内の人々がそういう役割を知る意味でも、外側を意識し対話をすることが大事な時代になってきていると思います。
 4月から国立大学法人になりますが、そうなるとますます、あの組織は私たちにとっていったいどういう意味があるのかと、社会の人が見はじめると思います。そうしたときにきちんと、こういうことで社会に貢献している、こういうことで社会との接点を持っているということを伝える努力が必要になると思います。本学は、現に今まで、社会に対してもいろいろなことでやってきているにもかかわらず、それほど知られていません。
ダイヤモンド誌10月25日号 しかし、本学を意識的に覗いてさえもらえれば、すばらしい大学であることを見つけてもらえるようですね。地味な大学であると思っていましたが、今週出た『ダイヤモンド』(10月25日号)という雑誌の「大学の実力がわかる」特集の中では、全国145校の大学ランキングで14位という高いレベルで評価されています。総合大学がひしめいていて、私立は慶応と早稲田が入っているだけの上位の部分に、電気通信大学は大阪大学の下にくっついている。こんなに高く評価されるのだから、やっぱりもっと地域社会や一般の人に知られてもいいのではないかと思います。
 大学が社会に知られるメリットはいっぱいあります。例えば、非常にユニークなことをやっても、「あの大学だからこそこれがやれた」というふうに認めてくれる。社会の人が認めるだけではなく、それを公的に評価する人や行政的にサポートしてくれる人たちにまでちゃんと影響力があると思います。外とのつながりを自分たちのエネルギーとして使えるように広報することもできるのです。余分にエネルギーを使ってまで広報をする必要はないという考えもあるでしょうけれども、逆に広報することによって、自分たちのやっている組織が活力を取り戻してさらに成長していける。そういう力になるということをぜひ知ってほしい。
 もう一つ広報というのは外向きの働きだけではなく、内向きの働きも必要です。組織の人々に、なぜ自分たちには広報が必要かということも理解してもらわなければ意味がありません。
 大学で広報をやっていくときの役割で一番重要なのは、一般社会にきちんと、この大学はこういう大学で、こういうことを皆さんとしていて、こういうふうに社会に貢献しているということを外へ積極的に知ってもらうということですが、もう一つ大事なのは、中で働く人たちに訴えて、閉鎖的な中で仕事をするのではなくて、外とつながりを持つことによってより活力を手に入れることができるのだという意識を持ってもらうこともおろそかにできません。だから大学の広報では、二つの面が必要になっていますね。そんな気がいたします。

上原 : 「優れた経営者は情報とコミュニケーションに対して独自の哲学と視野を持ち、一片の黒雲から嵐の襲来を予知するような情報参謀を周囲に配置する」と言われております。そういう意味では、現代の広報というのは、内外から様々な情報を収集すると共に、経営理念に基づいた企業の情報を対外的に、或いは対内的に周知徹底させねばならないという非常に重要な役割を持っておるのですが、高柳先生はこれからの広報を担当される立場で、どのように広報活動を戦略的にお進めになろうとお考えでしょうか。

高柳 : ここへ来る前、つくばにある共同利用の研究所で広報室の立ち上げをしてきました。その際、広報活動の国際連携を進めるために海外の共同利用研究機関を回ったのですが、どの組織でも、広報室というのはトップに直属です。なぜかというと、トップマネジメントの判断に従って、トップがやりやすいように、外へ向けて、組織の動向を社会に理解してもらい、支持してもらえる環境を作りだすことが広報室の役割でもあるからです。
 例えば、大きな研究機関では国からきちんと研究計画の予算を取らなければいけない。その研究が、国民にとって、一般市民にとってどういう役割があるかということをきちんと広報し社会の支持がなければ、なかなか行政の許可が出ず研究計画が前に進まないのです。
 大学の広報ではそこまでやる必要が出てくるとは考えていませんが、少なくとも、大学を経営する立場の人がこういうやり方でやろうと、学内の周知を集めてある方向を決めたら、それを今度は社会の中で実行していくために、ちゃんとした広報活動を取らなければ、今の社会では前に進みにくい状況が生まれているのです。
 そういう意味で、まず組織内できちんと一つの方針を決めて、その方針の下にどう広報を展開していくかという広報戦略というものが具体的に必要です。組織としていい活動をしようとすると、それが重要になってきています。そうした社会環境になっていると思いますよ。

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