目黒会ロゴ
検索方法説明
問い合わせ グッズ販売 関連リンク集 情報セキューリティ方針 サイトマップ
目黒会報/主要な記事/巻頭論壇

会報18-3の主要記事

巻 頭 論 壇
「日本の大学、アメリカの大学、中国の大学」

電気通信大学 学長 益 田 隆 司 
 本報17-2号の巻頭言に、「もう一つの大学改革」と題し、世界の大学のモデルになっているアメリカの 人学に比較して、日本の大学の本質的欠陥は、教員、学生のモビリティがないことであるということを書か せていただきました。アメリカの大学では、学部から大学院への進学時に大学を変えるのが常識であり、こ のことが学生の成長にとってきわめて有効に働いてい ます。それに対して、日本の大学では、有力大学であれぱある程、学生は動きません。このことが日本の大学に活力と発展性がない、さらには、国際化が進まない最大の要因と考えています。ただどこも手元の学生 を手放せなくて、モビリティを上げようなどということは考えていません。
 最近中国の大学の活力には目覚ましいものがあります。しばらく前の読売新聞に、清華大学は、「清華人出身の教員は3分の1、国内の他大学出身者が3分の1、外国人教員が3分の1を内規にしている。」(文部科学省関係者)という記事がありました。電通大を訪ねられた中国のある大学の学長から、同じ話が北京大学においても存在すると聞きました。この記事の詳細を知りたいと考え、中国を代表する 3つの大学、すなわち、清華大学、北京大学、そして、上海交通大学を訪ね、学長、副学長にお目にかかって、 それぞれ2時間程度お話をさせていただく機会がもてました。着いた日に、清華大学、次の日に、北京大 学、上海交通大学という忙しい日程でしたが、その中で、上海交通大学とは、とりあえずはロボットの分野 でのシンポジウム、将来的には研究者の交流への発展をしましょうという合意も得ました。
 結論から申しますと、新聞記事の表現は必ずしも正確ではありませんでしたが、どこも教員、学生のモビリティの間題を大学活性化の重要な要因として位置
づけていました。中国において、インブリーディングの傾向が弱まったのは、改革開放経済への移行に合わせて発生した大量の留学生がそのきっかけだそうですが、いまひとつの大きな要因は、現在数万人いるポスドクが出身大学には残らないことを強く推奨されているためであるということです。80年代コロンビア大学のノーベル賞受賞者T.D.Lee教授がケ小平と懇意で、ポスドクは出身大学に残れない仕組みにすべきと進言した影響だそうです。また、ある時期から清華大学では、産業界とのつながりを強化すべきとの視点から、博士論文の内容を実学的にしたということです。さらに、」隙大学と清華大学は、互いに世界のトップになろうとの主旨で会合をもち、その場でも、インブリーディングは排除しようとの意見が強く出たそうです。
 訪間した3つの大学、いずれでも、学部卒業に合わせて、海外に留学する学生も多い、就職がいいのでその道を選ぷものも多い、また、出身大学以外の大学院に進学する学生数も出身大学に進学する学生数と拮抗する程度存在するといった具合です。日本の東大、京大のようにほぼ100パーセントが自大学大学院と いうのとは大違いです。モデルとしては、アメリカの大学に近いように思います。また、教員についても、上海交通大学の学長がいっていましたが、学士、修士、博士のいずれかひとつの学位は他大学でということを原則としているといった程、動かないことを強く嫌っています。
  最近はヨーロッパ連合でも、国を越えての学生のモビリティの向上を強く推奨しています。日本の大学の学生の動きのなさは、日本の大学に活力がない、若者の活力を削ぐ大きな要因です。東大、京大がこの問題に正面から取り組んでくれれば大きな効果があるでしょうが、そのようなことはまったく期待できません。 電通大が独自に動くわけにもいかず、困った状況です。日本の大学の活力を増し、国際化を進めるためにも解決しなければならないもっとも本質的な間題と考えていますが、解決の糸口が見つかりません。
Copyright 2003 Megurokai,All Rights Reserved
このページの先頭へ戻る